【御報告】台湾高雄市・大阪府建築士事務所協会の皆様が阿保神社を訪問されました 宮司挨拶全文
7月28日 挨拶文
1. 歓迎と感謝の挨拶
本日は、台湾高雄市より遠路はるばる阿保神社(あおじんじゃ)へお越しいただき、心より歓迎申し上げます。また、このような貴重な交流の機会をご調整いただいた一般社団法人大阪府建築士事務所協会の皆様にも、深く感謝申し上げます。
2. 阿保神社の歴史と土地の開拓
阿保神社の「阿保(あお)」という名前は、約1200年前にこの地に住んでおられた「阿保親王(あぼしんのう)」様に由来します。親王様は、この土地を守る神様(産土神うぶすなのかみ)です。
親王様は天皇の皇子(みこ)であり、日本の有名な歌人・在原業平(ありわらのなりひら)公のお父上でもあります。
当時、この地域は貧しい土地で、農民は生活に苦しんでいました。そこで阿保親王様は、ご自身の庭にある池を農民に開放し、水路(灌漑用水)を整備されました。そのおかげで土地は豊かになり、農民たちは深く感謝しました。
親王様が亡くなられた後、その御徳をしのんで神社を建てられたのが、この阿保神社の始まりです。
また本殿には、学問の神様として有名な菅原道真(すがわらのみちざね)公もお祀りしています。道真公は天神様として全国的にも崇敬を集められています。
道真公が九州へ向かう際、この地を通られた縁(ゆかり)で、のちに社殿が建てられました。
3. ご神木の大くすの木
本殿の裏手には、樹齢1,000年を超えるとされるご神木の「大くすの木」があります。大阪府内でも最大級の大木で、エネルギーが満ちる場所(パワースポット)として有名です。今春より、このご神木を未来へ残すためのプロジェクト(クラウドファンディング)に挑戦しています。
4. 奥参り(おくまいり)〜珍しい建築構造〜
本殿裏手には、最近完成した新しいお参りの場所(拝所)があります。阿保神社の本殿は、全国的にも大変珍しい「後戸(うしろど:本殿の裏側にある扉)」を持つ建築構造をしています。この「奥参り」によって、本殿の裏側から、神様に最も近い場所でお参りすることができます。
5. 雲龍(うんりゅう)復活プロジェクト
こちらも今春完成した取り組みです。この地域の伝統工芸品である「欄間(らんま:日本の木造建築の意匠)」を、約150年ぶりに磨き上げて復活させました。
彫られているのは、日本の龍の特徴である「3本の爪」を持つ、東方を守る神「青龍(せいりゅう)」です。
6. スケートボードのモニュメントと「アップサイクル」
拝殿の外側には、使い終わったスケートボードの板を使ったモニュメントを展示しております。
ここ松原市は、スケートボードに非常に力を入れている街です。2021年の東京オリンピックで金メダルを獲得したスケートボード選手も、ここ松原市の出身です。
私がこのスケートボードに着目した理由は、「アップサイクル(持続可能な再生)」という現代的概念を神社にも取り入れたかったからです。役目を終えた古い板を単に処分するのではなく、お祓い(神道の清めの儀式)を行い、新たな価値と命を吹き込んで蘇らせる取り組みを行っています。持続可能な地域づくりや環境保護の想いも込められています。
7. 花天井(はなてんじょう)プロジェクト
かつて拝殿の天井にあった古い「花天井絵」を、令和6年にご寄進を頂戴して修復いたしました。今は保存ケースに収納しています。
同時に、昔ながらの天然塗料(岩絵具)を使って当時の絵を復元し、現在拝殿の天井に飾っています。無料の絵は48枚あります。
描かれている植物の中には「オオタニワタリ(大谷渡)」という一枚があります。日本では南の地域に自生する植物ですが、台湾でも「山蘇(サンスー)」と呼ばれ、大変親しまれている高級山菜だと伺っております。日本と台湾の自然や文化を結びつける象徴的な一枚として、ぜひご注目ください。
また、拝殿の両脇天井にある絵は、阿保親王様のご子息・在原業平公の「和歌」をテーマにした新しい花天井絵です。業平公が詠んだ数多くの和歌の中から、私(宮司)が歌を選び、そのイメージの世界観を作り上げて、プロの絵師に描いていただきました。そして添えられている書は私が心を込めて書いたものです。(大変緊張いたしました)
この「ゆかりの和歌の花天井絵」には、実は素晴らしい歴史の物語が隠されています。こちらはまだ秘密ですが、時期が来ましたら発表いたしますので、どうぞ楽しみにしていてください。
8. 地域文化の象徴「地車(だんじり)」の紹介
本日は、地域の伝統文化である「地車(だんじり)」もご覧いただきます。地車は、木造の美しい彫刻が施された日本の伝統的なお祭り用の山車(だし)です。阿保地車保存会の皆さんが、世代を超えて大切に継承しています。
日本の伝統的な「木造建築の技術」や「地域の絆」を、ぜひ間近で感じてください。
9. お下がり(記念品)に込めた想い
本日はお帰りの際に、神社のお下がりとして「お米」「もち麦」「ごまふりかけ」をお送りいたします。
神道では、お米や農産物は神様からの恵みであり、人々の生命の源と考えられています。皆様のの益々のご発展と、健やかな暮らしをお祈りしてお渡しいたします。
10. 結びの言葉
本日の参拝と交流が、皆様の素晴らしい思い出となり、台湾と大阪の今後の良き架け橋となることを願っております。本日は誠にありがとうございました。
阿保神社 宮司 山野美江